忍者武芸帳・影丸伝
白土三平先生による忍者漫画です。
貸本が流通していた時代の作品です。
小学生の頃に自宅の近所にある図書館に復刻版が置いてあったのですが、当時の僕は大の藤子不二雄マニアだったので最初のうちは見向きもしませんでした。
別の日に図書館のマンガコーナーに置かれてる中で2巻の表紙のインパクトに気圧されて手に取ったのが運のつきだったんだよな…
著作権の関係や探し出すのが難しそうだったので画像の掲載は無しですが、確か2巻の表紙はヒロインの一人である“蛍火”のアップだったかな…
紙が水色で、筆ペンで描かれたような蛍火のドアップに参ったような…
【ちょっとここいらでお知らせ】
『MIKADO』第八話・・・7ページ目まで更新しました。
まにょもの方に『MIKADO』第弐話をUpしました。
興味のある方はどうぞ、ごゆるりと…
…では、話を戻しまして…
まず二人の主人公と二人のヒロインの存在です。
・影丸
正統な主人公にして謎の忍者。農民達を先導して一揆を組織して全国各地で暗躍する不死身のヒーロー。首をはねられても生きてるし…
ラストでは牛牽きの刑により、両手両足、首をもがれるも安土城でさらされた首が大笑いした後に姿を消す
・結城重太郎
もう一人の主人公にして美青年剣士。もともとは伏影城城主の子息だが謀反により幽閉されるも家臣に救出され反抗のチャンスをうかがう。だが蛍火と対峙した際に左腕を切断され、隻腕の剣客になる。恋人である明美の仇が影丸と勘違いし、彼を執拗に追い詰め、ラストでは遂に影丸と捕えることに成功する。…が、影丸より事の真相を聞かされて愕然とし、当ての無い旅に出る。
・明美
正統なヒロインにして影丸の妹。かなりの世話焼き&お人よしで重太郎を愛する美少女。兄同様に忍術に精通しており、サバイバル能力は極めて高い。…が、蛍火の策略により惨殺される。(かなりえげつない最期だったような…)
・蛍火
もう一人のヒロインにして重太郎の仇である坂本主膳の妹であり忍者。“忍剣・地擦り残月の剣”で重太郎の左腕を切断するも影丸により左腕を斬りおとされる。後に兄共々明智光秀の忍となり、影丸及び彼の灰化である影一族の討伐に暗躍する。影一族との戦いにおいて壮絶な最期を遂げるが全身に仕組んだ毒薬を水源に入れることにより影一族の殲滅に成功する。
…と、まァ、勝利者が居ないんですよね…
しかも時代背景の関係上、残酷描写が随所に見られるし、処刑の方法も斬首だけでなく、野生動物の餌食にする場面が多々あります。
しかも絵が凄く古いんですよね…
(貸本時代だから当然です)
…って、そんなもんの何が面白いか?
上述の主人公とヒロインの4人を紹介した内容を再度見てもらえると分かると思いますが、実は人間関係が複雑に絡み合います。
4人の紹介だけでもかなり端折ってますが、彼らをつなぐキーとなる人物・無風道人なる生臭坊主にして影丸の師匠にして重太郎に“陰の流れ・吹毛剣”の極意を教えた人物が登場したり、少年自警団のような集団や影一族など個性的なオリジナルや織田信長、明智光秀、塚原卜伝といった実在の人物が織り成す大河ドラマです。
NHKの大河ドラマで放送してくれたら毎週観てやる!
…と、言える内容です。
ちなみに影一族は特異能力集団で…
・岩魚・・・突然変異によりエラ呼吸可能な人間にして水遁の術の使い手
・シビレ・・・体内の微弱な電気を放出する事が可能な忍者
・アナグマ・・・土中で活動可能にして神出鬼没で影丸の幼馴染
・みっつ・・・三つ子の忍者で一人は影丸をかばって死亡
・蔵六・・・首を亀のように胴体に隠す事が可能で、行動する際に亀を巧みに操る
・太郎・・・蔵六の息子で亀を巧みに操り、「みんな死んでる…」の名言(?)は彼が最初
…普通の人を探すのが困難です。
※残酷描写が多々あるので万人にはオススメできませんが、安西博信先生の「烈火の炎」や相原コージ先生の「ムジナ」などの忍者漫画はありますが、正直言って「忍者武芸帳」を凌駕する忍者マンガは存在しないと思います。
それぐらいに魅力的な登場人物達が織り成す人間ドラマに圧倒されたんですわ…
NHK!
さっさと大河ドラマで取り上げろや!
(何故か高田総統風に)