タイトルの通り「サイボーグ009完結編 conclusion GOD'S WAR Ⅲ」を読破しました。
Ⅰ、Ⅱとサイボーグ戦士達がそれぞれが自称だったり、作られたモノだったり、天使っぽいヤツだったりと様々ではありましたが「神」という単語をキーワードに強大な者と相対したりと何やかんやと、伏線未回収で後味の悪いエピソードが立て続けにありましたが、Ⅲになって初っ端からアクセル全開の最終戦争に突入した感が漂う幕開けでした。
兎にも角にも、後味の悪いエピソードで畳み込まれてただけあってか、読後に感じたものは感動や爽快感、高揚した感覚とは違い、
感無量
この一言に尽きます。
石ノ森章太郎が他界し、完結作は読めないと思ってた本作ではありますが、こうして読むことが出来、更に物語の結末を目の当りにできた事、そのものに感極まってます。
小野寺丈の作家としてのスキルはよく知りませんし、戦闘描写の多い小説は滅多に読まないので、小説として批評は出来ませんが、感じたままで言うと、
読むのが止まりませんでした。
「神々との戦い編」でサイボーグ戦士達は001の力でサイボーグ超戦士に進化するのですが、本作では激闘の末にズタズタにされた状態で覚醒していきます。
ちなみに、Ⅱで009は分子レベルに四散したのですが、これも001のおかげで超戦士へ覚醒する実験(?)に転用されちゃってますが、
そんな小さい事はどうでも良いです。
前述の通りアクセル全開の最終戦争状態から始まり、文字通りズタズタにされちゃう凄惨な描写がこれでもかと恐ろしいスピード感で襲ってきます。
(一般市民込み)
更にサイボーグ超戦士に覚醒し、東京を襲撃した「神」とその尖兵は撃退するも、世界中で起こる異変、世界中で出現したあらゆる伝承の「神々」との最終戦争の最中、更に覚醒するサイボーグ超戦士達…
これらが一気に押し寄せて来るわけで、石ノ森章太郎がデザインした、あのキャラクター達が活躍する様子がいとも簡単に脳内で想像でき、睡眠時間を削ってしまってでも読みふけってしまいました。
また、Ⅰ、Ⅱの伏線の回収も怒涛の如く一気に表現され、伏線の回収のみならず、
神とは?
天使とは?
悪魔とは?
人間とは?
生命とは?
これらを石ノ森章太郎と小野寺丈のタッグで解釈し、叩きつけてきてます。
たかだか税込み¥700の文庫本一冊で聖書を引っくり返すような重厚な物語に仕上がってると言った印象を受けました。
※宗教的な論争云々ではなく、あくまでも娯楽作品としての新解釈です。
単純に凄いものを読んでしまったとしか言えません。
…で、肝心のお話ではありますが、神々を相手にしてどういった結末になるのかは読んで頂いた方が手っ取り早いとは思います。
物語はある意味ハッピーエンドと言えますが、現代を生きてる僕達の視点で考えるとバッドエンドになります。
ここらへんは人造人間キカイダーもそうですが、「ミュートスサイボーグ編」や「地下帝国ヨミ編」のエンディングを知ってる方々なら娯楽作品として許容できるものではないかと思います。
(賛否両論ありますが、僕自身、納得できる結末だと感じてます)
また、昔ながらのサイボーグ戦士を想像できる者として、読むのが止められない状況になりつつも凄惨な戦闘描写にショックを受けた箇所は多々あります。
これらから万人にオススメできる物語ではありませんが、石ノ森章太郎の萬画作品のファンであると自負できる方は必読だと断言できると思います。